蔵元と消費者が特別な繋がりを持つ新しい独自ネットショップの仕組みの開発

>>デジタル化事例集

課題・目的

 弊社では、新型ウイルス感染症により、直売店「酒ミュージアム『醸蔵』」の来場者数と売上は減少している。アフターコロナ以降は、お酒の飲まれ方・楽しみ方がより一層変化すると予想される。そのため、「お酒の新たな価値提供」および「新規顧客の獲得」が今後のビジネス戦略の基盤となると考え、売上増加と新規顧客獲得から繋がる「吉乃川へのブランド向上」が課題となる。そのためには、アフターコロナにおいて、醸蔵に来場するだけでなく、「ネットを通じて新たな価値を提供できる場」が必要となる。来場客減少分を、また新たなお客様との関係作りの場をネットショップによって補い、状況改善を試みる。オンラインでのみ完結することを目的とはせず、将来的に「いずれ醸蔵へ訪れたい」「長岡に行きたい」と思わせるような、従来のネットショップとは異なる価値を提供できる場を構築していくことが、本事業の課題目的である。

取り組み内容

 ECサイトを構築できるサービスである「MakeShop(メイクショップ)」を活用し、新たな価値提供ができる独自ネットショップの場として、独自のECサイトを構築した。
そのなかで以下の5つのコンテンツを中心にサービスを展開した。
①「カヨイ」
 吉乃川の特別なお酒を、地元長岡の金属加工会社と共に開発したオリジナルのステンレスボトルに詰め、お客様に配送。お客様は飲み終わった空ボトル(ロット№付のマイボトル)を吉乃川まで「返送」する。吉乃川では、改めて新たなお酒をお客様のマイボトルに詰め、発送にて届けている。
②「定番酒・限定商品提供」
 新潟県内では手に入りやすいお酒でも、県外では目にしないものも多い。特別なお酒・体験を通して「日常の吉乃川」に派生していくように、定番品も豊富に販売した。また、会員特典として「7,000円以上購入の際は送料無料(離島は除く)」を設けており、毎月継続して受注する「カヨイ」と合わせて定番酒の購入も導線つけた。
③「食品提供」
 自社の酒のみでなく、朝麹(吉乃川甘酒)や地元名産物(あぶらげ等)や、吉乃川のお酒を用いたお漬物といった地元企業とのコラボ食品も販売し、長岡の食文化も発信した。
④「吉乃川公式YouTubeチャンネル、メールマガジン」
 商品サービスだけでなく、長岡の気候風土や歴史も、Youtubeチャンネルやメールマガジンを用いて発信。独自ネットショップでは登録された全会員にメールマガジンの発信が可能である。
⑤「各種イベント」
 単なる商品の購入の場ではなく、お客様との関係作りをしていくためのネットショップとして、上記サービスに対する想いやストーリーを伝えていく、各種イベント(基本はオンライン)も本ネットショップから募集し、実施した。

効果

 自社独自のネットショップである本事業を展開することにより、今まではオフライン(現実世界)でしか取り組めなかった「関係作り」が、上記のサービスによりオンライン上でも可能となった。本事業を展開することで下記7点の効果が得られた。
 ①吉乃川会員の獲得 ②売上の向上 ③「カヨイ」顧客の増加 ④客単価の高額化
 ⑤会員特典による販売促進 ⑥顧客との直接的な関わり ⑦ネットを活用した発信

今後の展開

 本事業により、吉乃川のマインドシェアを上げ、お客様との距離を縮めることによって、「特別」だけではない日常の酒へのアプローチに繋げる。その為に、新規顧客の獲得、リピート率向上のためのメルマガ等情報発信、関係性強化のためのオンラインイベントを実施していく。加えて、今後も毎月の「カヨイ受注」「公式オンラインショップの商品追加更新」に取り組んでいく。事業報告としては一旦1月をもって終了と考えるが、公式オンラインショップはこの先もバージョンアップしながら独自性を持つネットシ